湯船に浸かりながら、成美は守に訊いた。
「寝台のこと、本当に素敵だと思います。行きの飛行機は…なんて言うか…気まずくて」
「出張の後はお互い休みでしたよね?あっ、でも、成美の旦那さんがなんて言うか…」
成美は首を小さく振った。
「構いません。少し仕事が立て込んだとでも言っておきます」
「本当に良いんですか?」
「守さんは…いやですか?」
守も小さく首を振った。
「まさか…。でもあなたとこんな関係になれるなんて…思いもしていなかったから。まだ信じられなくて」
成美はシャワーを浴びている守を湯船に引き入れた。
「お互い水浸しになるみたいな、あんな状況が無ければ私も何もせず一週間を過ごしていたと思います。私もまだ夢みたいで…」
成美は守に背中をもたれかけた。
「今までずっと…守さんを見続けていました。既婚者同士…有り得ない、いけないことだって分かってるのに」
成美は守に顔を向け、笑顔で呟いた。
「でも……思い続けていると、伝わるんですね」
「成美」
守は成美を抱き締めた。
誰も浴びていないシャワーが、湯を放出し続けていた。
その日2人は何度も求め合い、
ベッドで裸のまま抱き合って眠った。