「今年からお前たち二人も蓮一(レンイチ)と同じ高校かぁ」
今日は仲埼(ナカザキ)家では珍しく、父親が酒を飲んでいた。
同じ顔の二人の少女が、自分たちの父親に酌をしていた。
兄・蓮一に次いで、双子の妹たちも高校合格を決めたのだった。
「まさか蓮兄と真菜(マナ)と、私が同じ高校になるなんて………恥ずかしい」
「真希(マキ)最近、意地悪だよぉ!蓮兄ぃ、なんとか言ってよぉ!」
先に悪態をついた真希は、兄妹の誰よりも学力が高かったが、
結果、受かったのは他の二人と同じ高校だけだったのだ。
「あーあー、言わせておけよ。
それよりいい加減こっち来て料理の盛り付けでも手伝ってくれないか?」
兄妹たちが小学校に入って間もなく母親が事故で他界し、
仲埼家では蓮一が家事を担当していた。
妹たちも小さい頃から手伝える事は積極的に手伝っていた。
「いやだ〜」
「真菜、いいから手伝うよ」
ちぇっ、と小さく呻いて真菜は真希の後をついていった。
台所の三人を、父親は微笑ましく見つめていた。
母親がいないなりにこうして頑張ってきた。
今、四人は幸せだった。