真菜と真希は、真菜の部屋で先ほどの件について反省していた。
「ごめん……私ばっかり、なんか…役に立ってない気がして…」
「私の方こそごめんなさい。どうにも落ち着かなくて…」
「うん、私も…お父さんがいなくなってから…なんか…」
「やだ…しっかりしないと。私たち」
無論、真希の方は原因は分かっていた。
真菜もおぼろげながら、自分の蓮一への気持ちに、気付きかけていた。
「ま、真希っ。なんか、髪が乱れてない?」
「?!え!やだっ…」
真菜は自分の気持ちには鈍感だったが、
蓮一と真希の距離感、何より真希の雰囲気の変化には敏感だった。
真希が手ぐしで髪を直す仕草や表情は、
彼女が自分の恋愛相談をする時に見せるものだった。
「……………真希」
「?なに?」
「どうしたの?」
「?」
「まさか…真希…」
「……」
「好きな人ができたの?入学早々」
真希はふぅっとため息をつき、かぶりを振った。
「そんな早くできるわけないでしょ」
「な…なんだ〜。自信あったんだけどな…」
真菜はじっと真希を見つめ、彼女が見せた女らしい微笑みを見逃さなかった。