「わが映画研究部は低予算だ。わざわざセットを作ったりは出来ない。
だが腐な世界ならどうだ?ロケは学校や近場の海で出来るし殆どの人材は映研の連中で賄える。
ギャラが発生してんのはお前達だけだ。
それも1人一万。
破格だぞ…お前らの見た目がいいというそれだけの理由だ」
うぅ。
先輩は一息入れ、いまやミクロなサイズに縮んだ俺達の心を更に踏みつける。
「だが、俺は誤った。
お前らがこんなにバカだったとは…。
セリフは覚えない、大根、挙げ句にふざけるとは…
いいか?
腐ワールドを馬鹿にするなよ?今やその需要は億を軽く越えている。
なにより!!」
風介が、ゴクリと息を呑む
「なにより?」
響先輩がキッパリと言い放った。
「女子にウケる」
女子に…。
なるほど…って、オイ!!
そこか!
そこなんだな、先輩!
先輩はフッと微笑み、ビデオカメラを鞄にしまった。
「男子たるもの、誰もが女子に注目されたい…違うかね、諸君」
…そ、いや、そうか…?
「とにかく、君らは明日までにお互いを特訓したまえ
でなければギャラは返して貰うからな」
途方にくれた俺達を残し、先輩は去ってしまった…。