「なんで俺が推薦したことお前しってんの?」
玄関で出来るだけ砂を叩く風介。
必要以上に、動作が慌ただしくないか?
「映研の奴から聞いたんだよ、今日の朝!
お前が『相手が双葉ならやってもいい』って言ったってさ!
なんで、俺?」
ピタリ動きを止めて、それは…と口ごもり、くるっと向き直って上目遣いに見上げてきた。
「俺の口から言わせる気?双葉の、ど・ん・か・ん」
…あ゛??
え、ちょ…
まさか、こ、こいつ…俺のこと…
「あ、動揺してるぅ♪
かーわいー♪」
…コイツ…コロス!!
その視線に、風介がビクウッと後ずさる。
「げ、ごめ、マジで怒るなって!!
だ、だってさあ、一万は欲しいけど相手が知らん奴なんてゾッとすんじゃん!
双葉は…だ、だからさあ、あれだ、その、俺の数少ないアレ、ほら、」
どれだ、コラ…!
「…し、親友…だし、って勝手に俺が思ってんの!
だあっ!!もー、何言わせてくれちゃってんの!」
…真っ赤。
…お、俺が恥ずかしいだろがあっ!!
俺たちは、ハズイ沈黙のなか無言で砂を叩き出した。