しばし、沈黙のあと、双葉が切り出した。
「俺は…うん、バカなとこ可愛いと思うよ」
「な」
にゆってんだあああって叫びたかったが、これ以上注目を浴びたくないからグッと堪える。
優雅にバジルなんか食って役作りも大概にしろよ〜!
「…口端についてるよ」
クスッ。
…わ、笑ってる…。
な、なんだよ、ばーかっ!双葉なんか、双葉なんか…
ごしごし拭きながら、
チラッと窺うとわりと真剣な顔してたからギョッとして目を逸らした。
わけわかんね!
なんとか食べ終えて、店を出て…どっと疲れた。
女子とデートのがよっぽど楽だよ。
歩きながら、双葉が囁く。
「さっきの、演技じゃないぜ?お前のバカっぽいとこ俺、本当に好きだよ」
…。
ぽんっと肩を叩かれて、見上げるとニコってされた。
んなことマジでゆーなよ。
ハズイ通り越して目から鼻水出ちゃうだろ。
双葉はさすがに照れたか、妙に明るく「お次はショッピングといきますか」
と先へ行く。
今日から双葉、5日も俺が好きなんだ…。
演技だけど。
なんか。
…まあ…いいや。
先に行って、何気なく俺を待つ双葉の背中を追っていく。