『お前みたいなクズは死ね。』
何かネットとかのディスプレイ越しやシュールな漫画などで見掛けたことあるようなセリフ
面と向かって(しかも真顔で)言われるのは初めてだったので意外とヘコむもんなんだと知った。
「俺ってよくミスするし抜けてるってのは自覚してるけどね、だからって『死ね』まで言う事ないと思う。」
「なぁ佐木。自覚ってしてるだけじゃ意味ないんだぞ。」
仕事終わりに同僚の原島と会社近くの居酒屋に寄った俺は、今日あった出来事をつらつらと愚痴っていた。
「俺だからいいよ?いや、良くはないけど…もし俺がすげぇ神経細かい奴だったらトラウマになってその言葉聞く度に黒川所長のあの顔思い出して一生その辛さを背負っていかなきゃいけないんだ」
「神経細かくないお前だから言ったんじゃない?」
あ、ビール追加で
なんてコイツは俺の事を微塵も気遣ってくれない。
「…原島クン。もっと俺を宥めてよ。」
「何でだよ。大体入社して1年も経つのに成長しないお前が悪い。確かに黒川さんの口の悪さは有名だけど、あの人は褒め方もちゃんと知ってんぞ。」
…え?所長って誰かを褒めたりするの?
何それ怖い。
「俺褒められた事ないけど」
「そりゃお前怒られてもへらへらしてるし直そうともしてないからだ」
へらへらって…
俺は元からこういう顔なんだ。
「しかもしょっちゅう怒られてるくせに今更落ち込む事ないだろお前の場合。」
そう言われて確かに。なんて思った自分も怖い。
いや、でもね
今日のは痛かったんだ。
所長は毎日すげぇ勢いで俺をボロカス言うけど
こんな俺にもちゃんと仕事を任してくれるし
正直怒られるって事は構ってもらってるってまさに小学生レベルの解釈を俺はしてたのかもしれない
だから
あの瞳は俺を見放した。
「あ…自業自得だこれ。」
思わず声に出た時
時間は既に夜11時を廻っていた。