「うるせえっ!
俺は…俺はもう、降りる」
ひそめた眉をクイッと上げて冷笑する先輩に叫ぶ。
「金は返す!も、もう…やってらんない!」
響先輩はフッとため息をついて、頭をかいた。
「仕方ないなあ…じゃ、僕と双葉でとるか」
…!
「やりたくないんだろう?なら仕方ないじゃないか」
…俺は…俺が嫌なのは…
「これは映研の主な稼ぎになる予定でね。試写のあとDVDにして売るんだよ。
だから今さら辞められないんだなあ…。
…とゆうわけだから、双葉よろしくな」
…。
双葉、双葉…。
なんで何にも言わないんだよ?
相手が先輩でもいいの? なあってば…。
双葉!
「…い…いよ、もう、二人で…か、勝手に…くだらない映画…とれば」
…っ!
「風介!」
後ろから声がした。
双葉の声が。
でも俺は教室飛び出して走ってた。
とにかく逃げたかった。
嫌いだ!
嫌いだ、嫌いだ、嫌いだ、嫌いだ!
大っ嫌いだ、双葉も先輩も…
走って、疲れて。
ゆっくり、歩いて。
…振り返って。
双葉がいなくて。
追ってきてなくて…。
…
双葉…
双葉、双葉…
来てよ…。