「こっ…の、ばか野郎!」
ギクッとして、座り込んでたベンチから顔上げた。
目の前に、吐きそうなくらい疲れて、ヨロヨロしてる双葉がいた…。
どけって仕草で、俺がベンチ少し空けるとドサッて腰をおろし空気を必死に取り込んでる。
「ば…か、もう…!と、特待生の…お前に、俺が…追い付ける…わけ…ねーだろ…」
…あ。
忘れてた。
自分の脚が早いこと。
「双葉…」
「ったく…手間のかかる…おい、こら!」
デカい手が、俺の髪をぐしゃぐしゃにした。
「捨て猫か!こんなとこで1人で泣きやがって!!」
「う…だ、だってさ…」
やばい、俺、涙止まんないんだよ!
「なあ、俺、バカだった」
双葉が静かに言う。
俺を引き寄せて自分の肩に頭を置かせてくれた。
ドキドキと、落ち着くのっておんなじ時に存在するなんて思ってもみなかった。
「素直に、お前に好きっていやあよかった」
…え…。
「前から好きだったわけじゃない、確かに。
でもさ…なんかデートんとき無性に可愛くて。
ほとんど演技だなんて関係なかった」
…き、きゅ…
きゅんっ(≧Д≦)!
双葉がその顔見て失礼にも吹いた。