学校にはもうほとんど生徒は残っていなかった。
真希はずぶ濡れのまま、
ふらふらと自分の教室に向かっていた。
(瀬下くん………やっぱり私、人付き合いって……苦手……)
自分の席に座ったところで力尽き、
真希の記憶は途絶えた。
「!!」
真希が目を覚ました場所は、
見知らぬ部屋だった。
しかし、なんとなく落ち着く。
――ここって……もしかして――
奥のキッチンから出てきたのは、
真希の会いたくてたまらない顔だった。
「瀬下くん…!!」
「良かった。気がついた。
たまたま忘れ物取りに教室に戻って来たんだ。
そしたら仲埼さんが…」
真希が体を見ると、
ぶかぶかのシャツを着ていた。
「…ごめん………。
風邪…引いちゃうから…」
「…………ありがとう…」
(瀬下くんの匂いがする……)
真希は、蓮一以上に優から愛情を感じた。
蓮一はいつも、真菜を重点的に面倒をみる。
自分はいつだって二の次だった。
しかし、優は違う。
「仲埼さんが動けるようになったら、
家まで送るよ」
真希は悪い夢のようなこれまでの出来事を思い出した。
彼の提案を、かぶりを振って拒否した。
「……泊めて。…なんでも言う事きくから…。行くところがないの…」
「仲埼さん、そういうわけには…」
真希は優をベッドに引っ張り入れた。
「瀬下くん…。お願い…」
真希は涙を流して訴えた。
優がじっと見つめているのを察し、
真希は目を閉じた。
「な‥仲埼さん!」
「どうして?…私が嫌い?」
「そんなこと……あるわけ…!!
でも、こういう事は…やっぱり…」
真希は優の頬にキスをして言った。
「私たち…………両想い……だよね?」
優の理性が飛んだ。
真希は押し倒され、
二人は唇を重ねた。