ミニストップの中に入り、明るさと暖かさにほっとする…が、打ち身の痛みに思わず悲鳴が出る。
「大丈夫ですか?」
おろおろと細い指を揉みしだいている青年こそ心配だが、とりあえずイートインに座り込む。
「あ、俺が…店員呼んできます」
そこは甘えよう、と海斗はぐったりとテーブルに臥せった。
と、しばらくして更に平静を失った青年…簓が戻ってくると爆薬がしかけられているとでもいいたげに向かいの椅子に腰かけた。
ギクシャクとした動きで座った彼の顔は何か尋常じゃない色が見える。
「どうしたんだい?」
「いないんです」
海斗が眉を釣り上げる。
「誰も…いないんです」
まさか。
「本当に、いない…」
不意に雨がやんでいることに気づいた。
何故、それに不吉さを感じるのか。
二人は無言で立ち上がり、店の中を…関係者以外の立ち入りを禁じている倉庫にまで…踏み入り人を探した
いない。
流行歌の流れる明るい店内に息づく生命は
大袈裟に言わずとも二人しかいなかった。
そして
それは全てに言えることだと気づくのに
大した時間は要らなかった…。