「夏輝さん、今日は俺も一緒に行く。」
「何だか久しぶりだね。」
俺の隣を歩く夏輝さんは、俺より少し背が低い。
風に揺れる髪からは、
以前と同じ甘い香りがした。
「夏輝さん…、
何だか元気がないね。
何かあった?」
「えっ?」
「俺で良かったら話し聞くよ?夏輝さんが辛そうにしてると俺も辛いし。」
眉間に皺を寄せて隣にいる俺を見上げる。
ごめんね夏輝さん。
夏輝さんを苦しめてるのは俺なんだけど、
夏輝さんに優しくもしたいんだ。
「何でわかるかなぁ、
…彼女にね、フラレたんだ。他に好きな男ができたって。」
夏輝さんの苦しむ顔も、
今みたいに弱った顔も、
全部みたいんだ。
「そう…なんだ。
でも馬鹿だね、その女。夏輝さんみたいにいい人フルなんて。」
「…ありがとう。」
夏輝さんがまた辛そうに笑ったから、俺は夏輝さんの頭をそっと撫でた。
「無理しなくていいんだよ。せっかくキョウダイになれたんだし、もっと頼ってよ。俺の前でぐらい強がらなくていいよ。」