二人はホテルを出た。何時間愛し合ったのか…最近やたらと体をつなげている…出会って三年。付き合いはじめて一年。この前…一ヶ月半前初めて豊に抱かれた。麻姫にとって初めてのセックスだった。
(こんなに気持ちがいいんだ…肌に合う相手っているっていうけど…この人の赤ちゃんできたらいいな)
90年時代でもセックスなしで恋人同士とは珍しかった。膜を豊に破られてからほとんど毎日抱かれている…しかも生…本当に豊は麻姫の妊娠を願っているような…結婚をしたかったのかもしれないし、もう時間がないと細胞が知らせたのかもしれない。悲惨で凄惨な死に方をするのがわかっていたのかもしれない。もちろん麻姫も…。
車を公園に止めた。
「麻姫。俺真剣だよ。結婚したい。贅沢はできないけど。」
豊は、麻姫の手を握った…その瞬間!
バキバキバキバキ!車のフロントガラスが割れた。車がすごい音を立てる!
「きゃ―!」
フロントガラスが割れるとそこから男の手が現れた!豊は、慌ててドアを開けた…ボンッ!なんともいえない鈍い音がして豊は倒れた。