二時間ほどして、彼らは帰ることになった。
「あ、また来ま〜す。」
「いつでもいらっしゃいな」
「はい。コイツじゃなくてお母さんに会いに来ま〜す。」
「まぁ、ウフフ」
にぎやかな見送りが済んだ後、ヒロキはリビングのソファーにドカッと座った。
「楽しい子達ね」
ヒロキは返事もしなかった。
「二度と連れて来ない」
「あら、どうかしたの?」
「アイツら、母さんの話ばっかだよ。こうなるのがわかってたからヤだったんだ。」
涼子はコーヒーを作って出してやった。
涼子は美人だ。
自分でもある程度の自覚はある。
しかし、もう40過ぎてふっくらしていた。
ダイエットもままならないので、冗談でも久しぶりに誉められると嬉しかった。
「あら、そんなに話題をさらっちゃった?」
ヒロキはジロリと睨む。
「何喜んでんだよ」
「いいじゃなぁい、こんなオバサンでもね、誉められると嬉しいものよ」
「ふん」
「何よ、機嫌悪いのね」
「あんまり良くないね」