ヒロキは母についての彼らの話題が嫌だった。
「まだ夫婦で営みとかあんのかな?」
「あるよあるよ。あれなら全然イケる。ヒロキ、覗いたことねえの?」
「気持ち悪いこと言うな、バカ」
「まぁ自分のお袋ならそうだよな?うちのお袋・・・オエッ」
「だろうが」
「いや、しかしお前のお袋さんは別だ。」
「もうオバサンだぜ?太ってるし」
「いやいや、あのくらい肉が着いてる方がいい。あれ太ってなんかないぜ?」
「う〜ん、ヤりたい」
「しばくぞ」
部屋では冗談で済んでいたが、あまりいい気はしなかった。
そういう邪な目で見られていることも知らず、お世辞に気分を良くしている母がまた嫌だった。
「たまには若い男の子に刺激をもらえば痩せるかしら。」
馬鹿なことを言ってる。
「言ったろ?もう連れて来ないよ」
「んもう」
夕飯が済んで、風呂から上がった涼子に電話が鳴った。
「あら、お父さんだわ。はい・・・」
慌てて出たらしく、ネグリジェのボタンを留めながら話している。