「まぁ、母さんにも、それぐらいのことはわかってますよ?一体何年女をやってると思ってんの?」
そりゃそうだが・・・
「嫌じゃないのかよ」
「仕方ないじゃないの。むしろ、可愛いくらいよ」
ヒロキは面白くない。
ついつまらない質問をしてしまう。
「もしさ、アイツらからそんな告白があったら・・どうすんだよ」
涼子は苦笑した。
「そんなこと訊いてどうするの?」
呆れたらしいが、わかっててヒロキは食い下がった。
「聞きたいんだよ!」
涼子はソファーに座り直した。意固地になった息子の隣だ。
「ごめんなさいってお断りするしかないんじゃない?」
ホッとした。
「お父さんもいるし?きかん坊も一人いるしね?」
涼子は、ヒロキの態度の頑なさが、むしろ可愛いと思った。
女であることを心配してくれた生意気な彼に母性をくすぐられた。
それとは別に、この年齢の男の子が、自分を女と見ることにも、少しばかりの刺激を感じた。
「若くて可愛い女の子なら話は別だけど、こんなオバサンのこと、ムキになっても仕方ないのに」