「オバサンって・・母さんは・・・そこらのオバサンとは違うよ」
言いにくそうに、吃りながらの息子が可愛い。
「ありがとね」
涼子はヒロキの髪の毛を撫でてやった。
「心配してくれたんだ?」
「・・・まぁね・・」
耳が真っ赤だった。
涼子は微笑んで続けた。
「それから?・・ちょっと嫉妬した・・エヘヘ、そういうことかな?」
見破られて、ヒロキは恥ずかしい。
照れ隠しと優しい口調に甘えたくなった。
「そうだよ・・バカ・」
思わず涼子の胸に頭を預けた。
涼子はびっくりしたが、いつになく素直で可愛い息子を胸に乗せ、頭を抱えてやる。
「甘えん坊だね?」
「フン」
強がるが、甘えたいのだ。こんな大きなナリをして恥ずかしいに違いないが、いじらしいではないか。
誰も見ていないのだから、今はギュッと抱き締めてやろう。
ヒロキは、胸の中で幸福に包まれていた。
石鹸のいい香り・・襟からのぞく白い肌・・柔らかく温かい胸もとの感触は目眩がしそうだった。
涼子はすぐ目の前にある耳を見つめてささやいた。
(母さんを盗られる気がしたの?)