「父ちゃんはいつ頃帰ってくんの?」
「さあね、来月くらいに帰ってくんだろ?」
夫の竜也は漁師だ。
もう45で、小さな船の船長をしていた。
美姫は、昔レディース。結構ヤンチャで、その頃はパッキンだった。
竜也と15で出会い、16の時にカイトを産んだ。
竜也とは勿論出来ちゃった婚で、その後トラックの運転手をやりながらカイトを育てた。
今は竜也の収入だけで十分やっていけるので、一応専業主婦だ。
「カイト!おめぇまた洗濯物ためてんだろ」
ガバッとドアを開けた。ミッキーマウスのジャージを着た美姫はズカズカと入って来て、カイトに蹴りを食らわせる。
「いきなり入ってくんなよ」
「生意気言うんじゃないよ」
「俺はもう17だぜ?プライバシーぐらいあんだぜ?」
「てめえのプライバシーなんかセンズリくらいだろうが!」
パシッ
美姫のツッコミにはカイトもまいってしまう。
「母ちゃん、頼むからさ、普通の母ちゃんみたいにしてくれよ」
「普通じゃないか」