父の竜也が、実はあまり帰って来たがらないのではないか・・・
カイトはそう思っていた。
取っ組み合いのケンカをする自分達は半分じゃれあっているようなものだが、親父とお袋は違う。
妹が産まれた頃からか、何だか冷たい関係で、ケンカもあまりしなくなった。
女でもいるのかも知れない。父の船で、こんなに留守をするなんて、やはりどう考えても合点が行かないのだ。
それをひょっとして美姫も薄々気づいてるのではないか・・・
知ってて無視しているようにも思える・・・
女どもは、アイドルのバラエティー番組を観ていた。
「アンタがスーパーで会った子、あれミッチに似てたね」
「キャーホント?兄貴、そんなカッコいい同級生いんの?」
マセガキが・・
「しゃべったこともないって言っただろうが。何だよえらくご執心だな」
「ゴシュウシン?何だよそれ」
学がないのは仕方ないか。
「えらくこだわってるなってことだよ」
「カッコいい男だからさ。お前達もカッコいいの好きだよなぁ?」
うんうん、と妹達が頷く。