学校から帰ると、美姫はは煙草をふかしていた。
「今晩どうするよ」
「飯のこと?」
「ああ、めんどいから外食にするか?」
カイトはあまり美姫といるのを外で見られたくない。
「え〜」
「なぁんだよ、せっかく二人がいないから楽できんのにさぁ」
結局美姫はスーパーに買い出しに行き、出来合いの惣菜と、ビールを食卓に出した。
いつになく静かな食卓だった。
二人がいないと、カイトを苛めるのも盛り上がらないからだ。
「カイトぉ」
「あん?」
「アンタ、母ちゃん達が離婚したらどうする?」
カイトはギクッとした。
二人がいないから出てもおかしくはないか。
「去年引っ越したばっかじゃん」
「バッカ、もしもだよ。・・・アンタ、どっち着く?」
カイトは答えなかった。
美姫は冷蔵庫からビールを取り出した。
「飲むだろ?」
この家では当然の習慣だった。
「ホントのとこ、どうなんだよ」
「何が?」
「親父のことだよ」
「別に?・・」
「隠すなよ、あいつらがいないんだから言えよ」