「何でそんな言い方すんだよ!」
「うるせえ!」
馬乗りになっても安心など出来ない。
美姫は下から蹴りやパンチを繰り出す。
叩かれて顔を真っ赤にしながら、カイトは美姫の手首を掴み、床に押し付けた。
万歳させられて、いよいよ美姫は動けなくなった。
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ」
睨み付ける美姫の目が、急に潤んできた。
「・・母ちゃん・・?」
美姫の力が抜けた。
(・・カイト・・強いね・・カイト母ちゃんよりずっと強い・・)
泣きながら美姫は言った。
カイトは慌てて美姫から飛び退いた。
「ごめん、母ちゃん、おれごめん」
いつも強気な美姫が、泣きじゃくった。
カイトはうろたえた。
(ごめんよ?痛かったか?母ちゃんがあんな言い方するからだよ)
(だって・・母ちゃんだってまだ若いんだよ?ちょっとくらい言ってもいいじゃんかぁ)
泣き崩れた美姫は、ひ弱で哀れだった。
カイトは美姫を抱き締めてやった。
(ごめん、そうだよな?俺ガキみたいに怒ってごめんな?)