カイトは美姫に頼まれてスーパーに肉を買い物に来ていたが、要領を得ない。
仕方なく携帯で連絡を取った。
涼子は肉売り場にいる学生服を珍しそうに見ていた。
(肉って、いっぱいあってわかんねぇよ)
(役に立たないねぇ、樹里亜や麻里亜の方がよっぽどしっかりしてるよ!)
(るせえよ!)
涼子は親子喧嘩だろうことを察知して微笑んだ。
カイトはギャーギャー喚く美姫に憤慨して電話を切った。
まったく、優しいのはアノ時だけかよ。
「大変ね」
カイトは声の主を見てハッとした。
きれいな人だな・・・
カイトが描く母親像にピッタリの女性だと思った。
ちょっとふっくらしていて、優しそうで・・・
「野菜炒め?じゃあこの肉ね。」
「あ・ありがとうございます」
言葉遣いの悪いカイト。自分でも気持ち悪いほどだった。
「やりゃあできるじゃん」
美姫はカイトの買い物袋を見て言った。
「ふん、スーパーで会ったおばさんに教えてもらったんだよ!母ちゃんと違って優しく教えてくれたぜ」