アーケードから離れた裏筋。
妖しい暗さも、この町ならではの情緒だとカイトは思っていた。
飲み屋や、ホテルが立ち並ぶその通りを眺め、彼はのんびり歩いていた。
一台の車が横から現れた。
自転車に気を取られて車速を落とした時、カイトは運転席に目を奪われた。
あれ?
いつかスーパーで優しくアドバイスしてくれたおばさん・・・
しかし、助手席を見て彼はハッとした。
岡崎・・・
あれは岡崎ヒロキのお袋さんだったのか・・・
自転車をやり過ごした車は、焦ったように右折した。
ん?
数十メートル走ったその車は、ストップランプとウインカーを表示した。
ええ?
彼は目を疑った。
その車は・・・ネオンサインのアーチをくぐった。
(・・・マジかよ・・)
ラブホ・・・
と言うことは・・親子じゃねぇんだな。
だけど、どういう関係でそんなことに・・・
ヒロキはとんでもねぇ女たらしなのかも知れない。
しかし、清楚で優しい理想のおばさんが、高校生なんかとこんな場所へ・・・
カイトはヒロキに嫉妬した。