黒い軽は、ホイルを輝かせながら発進した。
美姫は目を丸くしてカイトを二度見した!
「うそ!」
「本当だよ。あの二人は親子。なのにラブホに入ったんだ」
車は海岸線を走り、港近くのパーキングに停めた。
美姫は改めて感心した。
「デキてるか・・あの親子がねぇ」
カイトは震える指先で美姫の煙草を一本くわえた。
美姫は火をつけてやり、自分もくわえた。
「いるんだね・・ウチみたいなの・・」
二人は数分間煙草をふかしていたが、美姫は思い出したように言った。
「てめえ・・・あのお袋に欲情しやがったんだろ」
「え、ええ?」
図星だった。
「確かにスゲー美人だよなぁ」
美姫はカイトの頬をつねって引っ張る。
「ったく、この浮気者が!」
「イテテ!母ちゃんだってアイツのこと気に入ってたじゃねえか」
「それでキレたのはドイツだよ!」
カイトは神妙になった。
「ごめん・・・」
「ッチ、面白くねえ!」
「ごめんって・・」