カイトが帰ると、家族はすでにみんな揃っていた。
「おかえり」
美姫の笑顔がいつもより柔らかいと思った。
なんだ?・・・
訝る息子の目を、美姫は正視できない。
みんなの雰囲気が、なぜか和やかで、かえって気味が悪い。
「カイト、またでかくなったんじゃねえか?アッチの方もよ」
「キャ、ヤダ父ちゃんたら」
バシッと竜也の肩を叩く美姫。
何だよ?・・嬉しそうな顔しやがって・・・
カイトはいよいよ訳がわからず、台所の美姫に後ろから声を潜めた。
(母ちゃん、何か変じゃねえか?)
(・・何が?)
(いつもと違う。何かあったのかよ)
「別に何もないよ」
竜也と妹達はゲームに夢中だ。
カイトは美姫の背後から尻を撫でた。
(やめな)
(ヤダ)
尻の谷間に指先を這わせた。
その時竜也がこっちを向いた。
「おい、カイトも母ちゃんも参加しろよ」
「ああ、すぐ行くよ」
華やいだ女の声だった。
(今夜は・・・早く寝な)
美姫は決然とカイトに言って、みんなの元に混じった。