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母・女・メス 82

ザクロ  2010-12-24投稿
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美姫は駅前のスーパーで買い物を済ませ、立体駐車場に停めた車に乗り込もうとしていた。

その前を一台のワンボックスが通過する。

あれ?
あれは確かヒロキの・・
その車は偶然にも半周先で停まった。


助手席のカイトは、ブスッとしたまま、マンションからここまでひと言も喋らなかった。
不安な涼子は恐る恐る助手席に問う。

「黙ってて・・くれますよね?」

カイトは眉間に皺を寄せた。

「ヤってねえからな。・・どうかな」

うろたえる涼子はとりすがる。

「そんな!」

自分は一度は覚悟した。
行動に移さなかったのは、言わばカイトの勝手なのだ。

決死の覚悟なのだ。そう何度もできるものではない。

ところがカイトはこともなげに言った。

「また連絡するよ」

応じるしかない涼子は、渋々アドレスを教えた。
「じゃあ・・」

ドアを閉めたカイトは、階下へ降りようと歩いた。

仁王立ちの美姫がいた。

睨んでいる。
車から出てきたのを見ていたようだった。

「・・・乗れよ・・」

カイトは助手席に回った。

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