乗り込んだ美姫はハッとした。
カイトの髪の毛を鷲掴みにし、首筋を嗅ぐ!
「イッテ!何すんだよ!」
突き放した。
睨み付けて、低い声で言った。
「臭え」
「はあ?」
「ババ臭ぇっつってんだよ!」
美姫はギロリと涼子の車に目を移すが、もうすでにいなかった。
バチッ
平手かグウかわからない。ただ感情に任せて息子を叩いた!
「イテェな!何しやがんだ!」
「臭ぇ、臭ぇ臭ぇ臭ぇ!」
バシバシと逆上して叩いてくる!
「車に乗りゃ匂いぐらい移るだろうが!」
「ごまかしてんじゃねえよ!こんな所から化粧品の匂いさせやがって!」
密着しなければ、首筋から匂いなどするはずがない。
美姫は血走った目で睨み付けた!
「てめえ・・あの女とヤったのか?・・」
カイトはムキになる美姫を嘲笑いたかった。
今まで俺を放ったらかしにしてたくせに
わざと挑発的に答えた。
「ああ。ヤったさ」
美姫の目がみるみる潤んで真っ赤に血がのぼせた!
「あの女、ぶっ殺してやる!」
焦れたようにセルを回してハンドルを握り締めた!