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母・女・メス 87

ザクロ  2010-12-24投稿
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ヒロキは丁度駅に降り立ったところだった。
今日は塾の日。
普段なら帰宅して着替えを済ませ、軽く何かを腹に入れる。
涼子が塾まで車で送ってくれるからのんびり構えていられた。

ん?

涼子からのメールだった。

『ごめん。体調が悪くて寝てます。今日は塾に送ってあげられないの』

ヒロキは時計を見た。
それなら着替えだけ済ませてすぐ出なければ間に合わない。

『わかったよ。着替えだけしたらすぐに出る』

『ごめんね。声だけ掛けて。起きれないと思うけど。』

『そうする。寝てていいからね』

涼子は、熱く込み上げた思いを、散りばめたハートマークに込めて息子に送った。



そんな涼子の後ろ姿をカイトはベッドで見つめていた。

夕日に当たる涼子のシルエットは、ただため息が出るほど美しい。
息子を思う母の優しさが、体全体に滲み出ていた。

「ごめん・・・おばさん」

つい、そう言ってしまった。

「息子には・・知られたくない。・・わかってくれるよね?」

潤んだ瞳が、一心にカイトの目に訴えた。

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