けれども、涼子に対しての憎悪は消えない。
最愛の息子をかどわかした女。しかも、いい歳をして・・・
二人の娘が部屋に戻った11時半。
美姫が台所に下りると、カイトは脱衣場にいた。
「今から風呂かい?」
「あ・ああ」
「トロいヤツだねぇ」
シャワーの音が聞こえ始めたので、上がろうとテーブルの上を見ると、カイトの携帯があった。
魔がさした・・・
『おやすみなさい、カイト君』
『ボクのおばさん・・おやすみなさい』
ガラにもなくハートを散りばめたメールを見て、美姫はフツフツと怒りが沸いてきた。
「キモい!何がボクだ、クソッタレ」
美姫は部屋に戻ったはいいが、なかなか寝付けなかった。
カイトはあの上品ぶった淫乱女に毒されたんだ!
人の気も知らず調子に乗りやがって・・・
「おんなじ目に遇わせてやる!いや・・もっとキツい目に遇わせてやる!」
復讐の画策が始まった。
「母ちゃん、どっか行くの?」
樹里亜と麻里亜は、鏡の前で全身を眺める美姫に向かって言った。
「ああ、ちょっとね」