『黒川はいつも佐木君を怒鳴ってるが…まるで成長してないようだな』
社長室に呼ばれ
入るなりそんな話をされた。
『うちとしては避けたかったけど…やる気がないなら仕方ないな。佐木君には僕から話すよ』
『…クビって事ですか?』
焦った。
俺もまだ謎なまま佐木の滅茶苦茶な話を社長に話してみたが『部下が可愛いのは分かる』なんてまるで信じてはくれない
まず可愛いわけねぇあんな野郎。
でもやれば出来るのは知ってるんだ。
俺はとりあえず何とか繋ぎ止める為に社長に待って欲しいと頼み込んだ。
『君がそこまで言うなら…実績もあるみたいだし、暫くは様子見するよ。但し―』
1ヶ月。
下がってる分の実績を上げ
態度も改めろというのが条件だった。
まずい。
下がってる分とは、誰かと共同してる分で、しかも数件の話ではない。
それを1ヶ月でいきなり一人に任せるのはかなり危険だ。
ましてや態度なんて…
いくら怒鳴った所で何の意味もない
俺の喉が痛くなるだけ。
だって寧ろ…
『お前同じミス何回してんだ?!前も言ったとこじゃねぇか!!』
『…えー…すいません。何でなんでしょう?ははは』
笑うんだ。この男は。
プチン。
何かが鳴った。
『お前。本当に使えねぇ。自分の置かれた状況も分かってねぇし。もう俺は知らねぇ』
『所長?どしたんですか?』
『もういい…
お前みたいなクズは死ね。』
しまったと思った。
佐木が
あんな顔するなんて思わなかったから。