完全に頭に血がのぼってるらしい店長と“紗矢(さや)"と呼ばれた黒髪の男。睨み合う二人に戸惑う。
板挟み、だ。今にも黒髪に掴み掛かりそうで…こんな店長みたことないよな?
“蛇に睨まれた蛙”
だけどこっちの蛙(黒髪)は蛇に怯えてなんかない。むしろ余裕たっぷり。にんまりと蛇(店長)に微笑する。
『…まあまあ。立ち話もなんだしそこ座れば?』余裕な蛙が蛇を誘う 笑
二人掛けのテーブルの、そこ…?
不思議に思っているとさっき注文をとりにきたウエイトレスさんがサッとイスを用意してくれた。すごい。忙しく仕事しながら、それでいて俺たちの会話を盗み聞き。
『質問に答えろ…なんでお前が居るんだ?!』
とかいって…座っちゃうんだな、結局。この勝負 蛇の負け 笑
思わず笑ったら店長に睨まれた。
『有クンに当たることないだろ。』
黒髪が不満そうに呟く。
そうそう。俺は悪くないんだからさ。
『あ!紗矢サン‥でしたっけ?何か飲みますか?!
俺、喉渇いちゃって!!
ほら、店長も!!
すみません、カフェオレ一つ!それから―』
悪くないんだけど気まずくて俺は早口でまくし立てる。
『ホットコーヒー!ブラックで♪』
『…それ二つでお願いします』
観念したのか 喉が渇いていたのか。店長は紗矢サンと同じのを注文した。やっぱ兄弟だと好みも似るのかな?
!
ほどなく各自飲み物が運ばた。カフェオレを一口飲んで少し余裕ができたから確認してみた。
『店長と紗矢サン、兄弟なんですよね?』
そんなに面白い確認じゃなかったのに―
二人は飲みかけたコーヒーをブッ!!と同時に吹き出した。