『何を今更!!』
呆れる二人に抗議する。
『だって!紗矢サンの正体を知る前に店長が戻ってきて―』
“兄貴”だの“紗矢”だのもめはじめたからさぁ。
『そうだね。有クンの言う通りだ。俺は周藤紗矢。
周藤弘希の“実の"弟、ね!』
“実の”って…解ってますって。
『もういいだろ。何でお前が居るんだ、紗矢!!』
『そりゃ兄貴が可愛い子を連れてくるって聞いたら〜俺も弟として立ち会わなきゃイカンなぁと…♪』
飄々とした態度で今 すごい爆弾なげた…
『聞いた?!誰にだ!!』
ぇえぇ?!そこ?!
『遠藤慧(けい)に〜♪』
知った名前を聞いて俺も店長も目配せした。
先輩だ。このゴタゴタを仕掛けた影の犯人は。
『慧は“余計な事するな"とか言ったけど〜有クンの顔見に来ただけだし〜』
な〜んもしてないよな?と紗矢サンは俺を見る。
『財布、拾ってくれました…』
紗矢サンはうんうんと満足げに頷くと今度は店長に な?とウインクした。
当の店長は―
遠藤の奴…
一人呟いていた。