冬の朝はまだ薄暗い。
ごそごそいう音にふと目が覚めた
ぼんやりした視界にフラフラとグラつきながら立ち去って行く影が映る。
…多分酒のせいでは無い
俺が酷くしたから腰とケツにきたんだろう。
別に話してたわけでも無いのに
ドアからガチャリという閉鎖音が聴こえた瞬間
途端に虚しくなった。
(行ってしまった)
黒川さんもう目も合わせてくれないだろうな
てゆうかもう会社もクビか…
明日が休みで良かったとか
次の職場探さないととか
黒川さん体大丈夫かなとか
可愛かったなとか
もう会えないかなとか
会えないよなとか
「何で…俺はこうなんだろう」
でも、もういい。
俺の事を忘れないでいてくれればそれでいい。
…できればあの人の中に少しでも
優しい傷として
残りますように
そんな無茶苦茶な願いを
俺は誰でもなく誰かに願い続けた