「あっ!!た!溜め息じゃ!!ないよっ!ち!違うの!!」
(聞かれた……!?!)
「違うのか…?そんなに否定しなくてもいいのに、ヘンなやつだな。相変わらず…」
(いつもいつも、あなたのコトばかり…)
久波 蹴人(クナミ シュウト)。
少女の心を占領し、
少女の原動力たる人間だった。
「久波くん、週末にメール出来なくて…
ごめんね。
バスケの試合、見に行きたかったんだけど…」
「あ、ああ。
まだ地区予選だから、気にすんなよ。
ウチの地区でならまず、負けは無いからな。
そうだな、どうせ見にくるなら県大会…
いや、全国に来いよ」
「うんっ!!絶対!行くね!!」
「こらぁ、後ろうるさいぞ〜。
出席とるからな〜。藍原リルナ〜」
「は、はい…!」
少女が照れながら返事をし、隣りを見ると、彼もまた、そんな少女を悪戯っぽく笑って見つめ返していた。
(久波くん………!)
少女は彼の笑顔を見るために生きているのだった。