「凄いお客さんの数……」
(リルナちゃん………)
マスターの脳裏に、リルナと出会った日の事がよぎった。
ひどい雨の日だったわ。
ここが潰れかけのストリップ劇場だった頃…。
「誰なの?そこに誰かいるの?」
「……………たす…け………て」
小さな小さな、幼稚園児か小学生くらいの女の子が、パジャマ姿で、
ぐしょぐしょに雨に濡れて、
店の裏のゴミ置き場にいた。
それがリルナちゃんだった。
リルナちゃんはそれこそ死にかけてた。
抱き上げたその子の髪は眩しいくらい金色で、瞳はどこまでも深みがかった青だったわ。
でもそんなことはその時はちっとも気にならなかった。
(助けなきゃ………)
「ここ………は?」
「あっ!気付いた!?良かった!あなた丸一日起きなかったのよ!?」
「…………………のよ?」
「あら、なんか文句ある?」
小さなリルナちゃんは、(すんなりと)自由恋愛主義者の私を受け入れてくれたわ。
文句は無いって、声には出さずとも首を振って応えてくれた。