マスターが過去の記憶から意識を戻すと、
リルナは既に舞台にはいなかった。
「いやぁ今日も最高だったぜマスター!!」
「明日も来ますよ!!」
「ええ、毎度どうも!」
リルナは既にシャワー室に向かったようだった。
彼女は眉を吊り上げ、むくれていた。
「マスターったら途中から全然見てないんだもん!!ひどいよ!」
「ごめんごめん!
でもたった二日で凄いお客さんの数ネ…」
「うん。ちょっと疲れちゃったかな……。
じゃあ、先に寝るね。
お休み!」
「お休みなさい」
リルナは高校に通い、友人たちや久波蹴人の顔を見るため、
マスターへの恩返しのため、
この『業務』をこなしていた。
果たして今この店に、
『従業員』は何人いるのか。
もし自分がいなくなったら店は、
マスターはどうなるのか。
布団に潜って、リルナはそんな不安を断ち切った。
次の日はさらに客数が増し、
店の外に溢れ始めていた。
マスターは先着順で整理券を配り、
さらに翌日分の整理券も配布した。
「リルナちゃん、今日だけで…ひゃ…百五十人分の整理券…無くなっちゃった…。
明日はその……倍…来るみたい…」
リルナは更衣室で目を見開いて驚いたが、
無理矢理笑ってマスターを安心させた。
「だ……大丈夫…ですよっ。…ほら
…今までだって…ね!」
今まで一日で百五十、三百人を相手にしたことなど無かった。
リルナは体が震え始めたのを、
肩を抱いて誤魔化した。
「だって…リルナちゃん、今日なんか…お一人様……一回お小水サービスの日だし……」
「リ、リルはおしっこ喜んで飲んじゃいますから!……ひ、百五十人なら…なんとか………なります…よ」
要するに百五十人を三回分、四百五十近い射精と尿の雨を浴びることになるのだった。