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ラック・ガール #18

輪廻 2011-01-29投稿
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「久波くん、どうしたの?」

「こっちのセリフだよ。藍原のそんなツラ、初めて見たからさ」

クラスの誰も、友人ですら気付かなかったことに、彼は気付いていた。
それだけでリルナは泣きそうになった。

「…なんか、あったのか?」

全て話したかったが、バイト先の話としては上手い例えが出てこなかったし、なぐさめてもらってはただ甘えているだけになる。

「なんにもないよ。久波くん、ヘンなの」

「そ、そうか?」

自分のカンが外れて恥ずかしいのか、蹴人は少し顔を赤らめた。
リルナは胸の奥がきゅうっと締め付けられたが、
味の分からないタコさんウィンナーを口に入れて誤魔化した。

「藍原、たまに疲れてるからさ。なんか力になれるなら、言ってくれ」

「うん、ありがとう。…私、ときどき疲れてるみたいな顔してるかな…」

「なんつーか……たまにあさっての方向を見つめてる」

「あさって…」

二人は笑いあった。

そしてしばらく無言で食べすすめてから、
二人は太陽以外なにもない、
青い青い天を仰いだ。

「あさって………か」

「その眼だよ…」

蹴人が少し真剣にリルナを見つめて言った。

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