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ラック・ガール #19

輪廻 2011-01-29投稿
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「えっ…」

「自分だけどっか遠くにいるみたいな…
その眼だよ」

「そんなこと…」

――見透かされている―

蹴人にはいつか全て、ばれてしまう。
ふとリルナにそんな思いが過ぎった。

「じゃあ、もうしないもん」

「そうしてくれ」

「え?」

「…………寂しいんだよ、その眼」

「…?」

「お前、案外みんなから心配されてること、自覚しろよ」

「久波くん」

言い残して彼は去っていった。
蹴人の顔が真っ赤なのを見てしまったが、
リルナは彼の言葉の端々から伝わる優しさに、
無意識の涙を流していた。

マスターへの恩返しが辛いなんて思ったことは一度もない。
今日は、昨日の失敗で落ち込んでいただけ。


そのつもりだったのだろうか。
ひょっとしたら、
体がもう限界なのだろうか。
心がもう病んでいるのだろうか。

リルナ自身、分からなくなっていた。

「久波くんのばか……」


リルナがもう一度見上げた空は、変わらずに、どこまでも青だった。

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