「琉聖、連理」
俺たちに気づいて、静瑠が笑って手を振った。
無邪気なんだよね、本当。
「静瑠〜」
うるさいくらいデカイ声で連理が近づいていく。
「連理も一緒?」
「うん、そおww」
いつそうなったんだよ。
と、思いつつ歓迎。
二人きりより最近は誰かいたほうがいいから。
「ありゃ、眼鏡ずれてるよ…ほら、これでよし」
気楽な動作で静瑠の眼鏡を直してやる連理から、俺は目を逸らした。
頭がオカシイ。
たかがこんなことで、僅かに…胸が痛いとは。
「ん、ありがとう」
「帰ろっか」
華奢な首筋に、連理が腕を引っ掛ける。
「重たいよ」
あんな風に出来なくなったのはいつ頃だっけ。
俺は二人を置いていくような足取りで廊下を進む。
「今日俺んち誰もいないから遊びにくる?」
俺たちは近所だから、よく互いの家を行き来する。
静瑠が、後ろから言った言葉に「連理がくるなら行くよ」とだけ答えた。
「いく♪」
お気楽な連理は必ずついてくる。静瑠に課題を教えて貰いたいからだ。
俺は…本当にどうしたいんだろう?
連理がいないともう、向き合うことさえ難しい。