「クリスティ?」
真横に追い付いた静瑠に、そっと聞いてみる。
奴はパッと顔を輝かせて
「うん、単発もの!…えと終わりなきよに生まれつくってやつ」
この顔が見たいから、俺もクリスティ全部読んだんだぜ?
お前と何かを共通していたいから。
「それ、泣けるよ」
「そう?うん、今のところ面白い」
ふっと連理と視線が絡んだ
なんだ?
なにみてんだよ?
「なんだよ?」
「別に〜…」
…前から薄々思ってたんだが…コイツ…まさかだけど…。
「どうしたの?」
「いや」
むっつり黙った俺を、不安そうに見る。
最近よく見るな、この顔。あんまり不安げな顔しないでほしいんだよな。
触れたくなるから。
二人きりだと自分自身が抑えらんなくて怖くなる。
完璧にコイツを「性」の対象で見てる自分に嫌悪するし…同時に堪らなく欲情してしまう。
夢のなかで何回犯したっけな?
都合よく、俺に抱かれる静瑠。
現実にはない…。
わかってるよ。
それでも時々、その髪に…真っ直ぐで真っ黒な髪に指を通してしまう。
そんなとき、願うんだ。
どうか指先の震えに、気づきませんように…って。