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ラック・ガール #23

輪廻 2011-02-16投稿
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リルナは自分が涙を流していることに気付かず、マスターに訊ねた。

「私………わたし……、
私は…………問題外、ですか?」


「リルナちゃん…」


最早、最初の印象とはかけ離れたマキが言葉を継いだ。

「リルナちゃん、今日は私がやります」

「!!」

ぴしゃりと言い放ち、
店側の入り口は、
リルナの眼前で閉められた。

リルナはその場に泣き崩れた。



店の中には苦い顔をするマスターと、静かに涙を流すマキがいた。

「リルナちゃんは、
急いで成長しなくてもいいの。
周りに迷惑をかけて、
たくさん泣いて、
嫌になるほど落ち込みなさい…。
あなたは、私たちが守るから…」

「マキ、でも無茶よ!今日だけで三百人よ!?そ、それに……。
昨日、さばいた明日の、五日連続最終日の整理券…三百五十枚以上よ……」


「ろ……六百五十人よね……。
二日で…」

マキの細い体が小刻みに震えていた。

「大丈夫よ…!私は南條(なんじょう)マキ……!この店のNo.1の……女っ………………!」

口を開けば開くほど、
体は震えて、涙が溢れていた。

マキはリルナへの謝罪と、

そして、恐怖から涙していた。

自信など彼女には微塵も無かった。

いつもそうだった。

No.1などプレッシャーでしかなかった。
しかし、スタイル、根性、年齢、やる気など全てを評価して、
今この店にマキ以上の従業員はいなかった。


「さぁ…準備してくるわ」

マキは店の奥に消えた。

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