「待って!広瀬くん…!」
私は帰ろうとする広瀬くんを呼びとめた。
「?」
広瀬くんは何も言わずに振り向く。
「広瀬くん…何でこんな事したの…??」
私は広瀬くんに尋ねた。広瀬くんはしばらく黙った後、表情を変えずに
「べつに…」
と言い、教室を出た。とり残された私は少しボーっとした後、あの時の広瀬くんの事を思い出していた。 あの時…、広瀬くんが「俺のこと見ててよ」と言った時。目を開いてから、広瀬くんが後ろに回るまでの間にちらっと見た広瀬くんの顔。見間違いかも知れないけど少し涙ぐんでいた気がした。私は自分が犯されたことよりも広瀬くんのあの表情のことで頭がいっぱいだった。