その日は朝から
風向きがおかしかった。
静留が俺を避けてる…ような気がする。
話しかけてもどこかぎこちなく、動きがギクシャクしている。
ずっと気になっていたから放課後、引き留めた。
「静留、なんかあった?」
静留は明らかにビクッとして首を振った。
「う、ううん、何でも…ないよ、本当に」
「具合、悪いんじゃねーの〜?」
連理が静留の額に手を押し当てた瞬間、風を切る勢いで振り払われた。
呆然と立ち尽くす連理に、静留の目に…紛れもない 「嫌悪」が浮かんでいた。
それから、ハッと息を呑んで
「ご、ごめん」
ああ…。
俺、わかっちまった。
「見たんだな、静留」
連理がアア、なる…と唇を歪めて頷いた。
「キスしてたの、見たんだ〜なるほどね」
ズバリ言われて静留は蒼白になった。
「つまり…それは両想いってことでしょ?」
「だったらなあに、静留ちゃん」
静留は震えて、唇を噛みしめ…それから決意したように顔をあげた。
「琉聖の気持ちが通じたのは良かったと思う…けど二人を目の当たりにして…俺…ごめん、どうしても…複雑なんだ…いや、違う」