静留は息をついで、俺たちを見つめた。
「複雑っていうよりは…怖いんだ。やっぱり理解、できないんだ…お、男同士っていうのが…俺、慣れてないし、慣れればきっと…」
「もういい!」
俺の声が他に誰もいない教室に響いた。
硝子みたいに落っこちて、そこらじゅうに破片が散らばったみたいな瞬間。
静留は後ずさった。
「気持ち悪いなら悪いってはっきり言え。応援するなんて綺麗事だったって言えよ。男同士なんか気色悪いんだって言えばいい」
連理が、詰め寄る俺を抑えた。
「落ち着けっての」
「お前なんか大嫌いだ」
静留に叩きつけた。
めまいがする。
チカチカ星が瞬く。
「もう、友達でもなんでもない」
わけのわからない衝動が突き上げてきて、本気で静留を突き飛ばした。
「りゅうせ…」
「うるさい!」
足元が揺れた。
いや、俺が揺れてんの? 膝が…震えて、立てな…
連理が俺を抱き止めて、そこからはゼロ。
全くの無の世界。
「…どこ?」
なんか見慣れない照明。
「俺んち」
真上に連理の顔。
「…?」
わけわかんねえ。