高山優斗は高校2年の17歳。
スキー修学旅行をひかえたこの時期、男子生徒は彼女作りに必死だった。
なんせ北国のホテルに3日間も缶詰め状態が続くため、彼女でもいないとやってられない雰囲気だった。
高校にスキー修学旅行が流行りだしたこの年が俺の初体験の年。その相手がひとみだった。かれこれ30年も前の物語…。
一年生は男クラで過ごした優斗は、2年進級時のクラス編成が混クラに入る事だけが気になっていた。
その危惧はいとも簡単に不要な事となり、そして運命の“ひとみ”と出逢った。
ひとみはとにかく胸がデカい高校生で一年の時から有名だった。
ただし、体もかなりの太めなため男子はなかなか手を出さない。彼氏もいない様子だった。
『ひとみ!これ読んで』
『えっ…?』
いつも独りでポツンと教室の隅にいるひとみに手紙を渡すのは容易な事だった。
“放課後体育館の裏で待ってる…”
世間一般的な手紙だから、たいていの女子高生なら意味はわかるはずだ。
校庭で部活の声が聞こえ、体育館では笛の音が響き渡っていた。体育館の壁にもたれかかりひとみを待った。
『高山君、遅くなってゴメン』