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ラック・ガール #42

輪廻 2011-03-02投稿
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蹴人の父親らしき人物は、明らかにリルナを見つめていた。
試合が休憩に入ると、その男はリルナに近づき、話しかけてきた。

「突然、申し訳ない。あなたはもしかしたら、間違いなら大変失礼なんだが……翔梧(ショウゴ)の…薙(ナギ)翔梧の娘さんでは?」

リルナに話しかけているのだろうが、
三人共に見覚えの無い名前だった。

「このコは藍原リルナって言います。人違いでは?」

「失礼ですけどどちら様ですか?」

「あ、ああ、申し訳ない。久波蹴人の父です。そうでしたか……藍原………」

リルナの名前に引っ掛かったのか、
難しい顔をしながら、
男は戻っていった。

「でも金髪に青い瞳で…人間違いってどういうわけ??」

「よっぽど似てるハーフの娘さんが知り合いにいるんだよ、きっと」

(……薙…翔梧…?)

蹴人の彼女を見つける目付きではなかった。
最初から、あの男性は難しい顔をしてこちらを見ていた。

―――人違いじゃなかったら………――


リルナの不安を他所に、試合は後半に進むにつれてどんどん蹴人たちが点を決めていた。

「これなら余裕だね〜!」

リルナも安堵の表情だった。
ダメ押しのブザービーターが決まり、試合は蹴人たちが圧勝し終了となった。



その後の試合も競り勝ち、次週の決勝リーグ進出を決めた蹴人たちを、リルナは会場外で待っていた。

「ん〜〜〜。終わったー!勝った勝った!
圧勝だったね!」

リルナは笑顔で頷いた。

「ったく、しゃべらなくっても可愛いんだからアンタは…!」

リルナの頬っぺたを、ミナが引っ張っていると、蹴人たちが出てきた。

「藍原…待っててくれたのか!」

「やっぱり久波のツレか〜!」
「お前集中できてたのかぁ?」

「か、勝てたんだから良いだろ!お前らはあっちだよな!じゃあまた明日な!っ………行こう、藍原…っと」

友人二人はニヤニヤと蹴人とリルナを見ていた。

「………あ、おれ、こいつと少し話があって…ダメか?」

「ぜ〜んぜん、ね?」

「お幸せに〜〜。リル、メール楽しみにしてるよ!」

バスケ部員らにも見送られながら、
蹴人の自転車で二人は帰路についた。

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