今日の連理はおかしい。
お前なんか大嫌いだって言ってやろうかとも思ったけど…可愛さに免じてやる。
実際、俺もね、まあ色々あったわけで。
んで、色々世話にはなったわけだし…。
「まだ帰ってないのかい?…下校時刻は過ぎたよ」
後ろから声がしたとき、飛び上がるくらいビビって、俺は連理から体を離した。
振り返ると、見たことない男が立っていた。
連理が目に見えて青ざめた
なんだ?
彼は、にっこり笑って下駄箱にそっともたれた。
妙に艶かしい動作で、大きな瞳はじっと連理に注がれている。
茜色に染まる玄関。
一分の隙もないその男は挑発するように一歩踏み出した。
「男の子同士でラブシーンかな?興味深い」
甘い声音。
ここからでも、微かに香水が漂う。
明らかに高級そうなスーツ…長い指で額にかかる前髪をかきあげた。
「ちょっとした冗談ですよ…先生」
先生?
俺は驚いて二人を交互に見つめた。
男は微笑んだ。
一言でいって、驚くくらい完璧な男だ。
しなやかな豹を思わせる体…美しい、アーモンドみたいな両目。
「そういえば…昔から、君は冗談が好きだったね」