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クレイジーキャット 15

にゃんこ 2011-03-15投稿
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俺は拳を強く握り、このお綺麗な顔に叩き込んでやりたい気持ちを押さえ込んでいた。

庄野は微笑んで、長い指をさりげなく俺の肩に強く食い込ませる。

獲物を捉えた獣みたいだ。その左手には結婚指輪がはめられていた。

俺は痛みに顔を歪めないよう細心の注意を払って呟いた。

「庄野先生、結婚してんですね」

庄野は片眉を上げた。
それがどうした?ってわけだ。

「有名塾の社長の娘でね…金だけはある俗物さ。
役には立ってくれるがね」
決して他には言わないであろう本音を、俺に言うのは煽っているからだ。

コイツに対しての俺の反感を面白がっている。

「俺には関係ないけど。…もう離して貰えますか」

これ以上触れていたら穢れる気さえする。

水と油だ。

俺とコイツは。

「…あの猫はどんな風に鳴いたんだい?いや、君が鳴かせたのかな…」

耳元でそっと囁かれた。
拳は、あっけなく振り上げられ…美しい鼻筋に叩き込まれる寸前に、後ろから止められた。

振り向いて、それが連理だと気づいた。

「何してんの」

厳しい声だ。

俺は見なくても解っていた
庄野は笑ってる。

心のなかで。

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