「いや、君との関係を彼に問い詰められたんだが…話すことはない、と言った途端に激昂してしまってね」
煮詰めた砂糖のように甘い毒のある声。
連理は俺を睨んだ。
「お前、何してんの」
俺は…首を振った。
庄野はいかにも困った、というように微笑んだ。
「仲が良すぎるのも困ったものだね。
度がすぎる友情は…問題の種となる。
気をつけなさい」
それだけ言うと、廊下を悠然と歩み去っていった。
「どうしたんだ」
戸惑うというより詰問だ。
俺は連理を睨んだ。
「あいつがお前を猫っつったから、ぶっ飛ばしたくなった。それだけだ」
連理は目を見開き、アイツが去った廊下を振り返った
まだ見えるか確認したいとでも言うように。
「…あんなやつ、クズだ…あいつには心がないんだ、掻き乱して楽しんで…」
「よせ!!」
連理が怒鳴った。
周りの連中が驚いて俺たちを見つめるくらい大声で。
「聞きたくない」
それだけ言うと、連理は俺を振り返りもせず歩き去った。
教室とは逆へ。
アイツが行った先へ。
俺は呆然とそれを見送るしかなかった。
連理が本気で怒鳴った…。