次の日、俺は寝れなかった体を引きずって学校へ向かった。
連理の後ろ姿を見ても
声を掛けられない自分がいた。
それでもやっぱり、と踏み出した途端
連理の横に並んだその男に気づいて…衝撃に胸を貫かれた。
連理と庄野。
軽く、自然そのものな動作で連理の肩を叩く。
仮面みたいな笑顔に、連理は初め戸惑い…それから、庄野が何かを囁いたあと微笑んだ。
俺は見つめているしかできなかった。
悔しい、とか悲しいとか…こんなにリアルに迫るもんなんだな。
2人並んでいる姿は、本当に絵になる。
連理はチャラい外見だけど顔立ちは可愛いと綺麗の絶妙な狭間で、見る人をつい微笑ませるし
庄野は…言うまでもない。
通りすぎる女子は、少しでも関心を惹きたそうに媚びた目で挨拶をしていく。
なぜか、庄野に声を掛けられた人間は、自分が特別な存在になったような錯覚を覚えるんだ。
あの得体の知れない切れ長な両目に射られると、抜け出せなくなる…。
俺はゾクッと背中が粟立った。
まるで俺が罠にはまったみたいじゃないか。
嫌悪しながら目が離せない
アイツは美しい毒蜘蛛みたいだ。